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手描きの守り本尊


 干支毎に有る『守り本尊』ですが、昨年末「寅年の守り本尊・虚空蔵菩薩をここに描いて欲しい」と、化繊生地のシャツを送って来られました。が、初めてお断りしようかな・・・と弱気になる程、シャツの生地質と薄さと色あいが絵を描くには不向きでした。

事情をお伝えしましたが、「それでもどうしても描いて欲しい」らしく。去年の入院中は愛犬の絵に助けられたから、次は自分を守ってくださる守り本尊だと思っていらっしゃるご様子。

 最近弱気の94歳のこの方に、この絵でエールを送れるかもしれないと思い、無謀にも挑戦しました。

資料集め。お寺参拝。絵に集中するために、心が落ち着く早朝か夜中に描くこと・・・何日かかったでしょう。

3月に入り漸く光が見えました。菩薩様と目が合った様に感じて筆を置きました。 合掌

 商品を送って、直ぐにお手紙が届きました。気に入ってくださった様で、お手紙の最後に有った言葉が印象的でした。

「私にとっては大切な守り本尊。小さなお守りさんはショルダーバッグの中に入れたり財布の中で眠っていたりしてますが、今度は気持ちが違って来ました。自分の体に付いているのですからネ」勿論電話口のお声はとってもお元気でしたから、私の心配は取りこし苦労だったみたい。